旅のはじまり

今でもはっきりと覚えている

学生時代、友人たちと初めてタイに行ったときのあの感覚

自分の知らない国の持つ圧倒的なパワーに僕は夢中になった

あの街にも行ってみたい…

あの店にも入ってみたい…

あの路地も曲がってみたい…

そんな欲求は尽きる事がなかった

そして何よりも感動したのは、僕が日本から持っていった僅かなお金で

それを満たす事が出来るという事だった

海外旅行はお金がかかるという僕の固定概念はいとも簡単に覆され

バックパッカーという旅のスタイルを初めて知った


これがもし、一人だったら…

僕はこの旅行中ずっと考えていた「次は必ず一人で来よう」と


そして帰国後、半年と経たないうちに今度は一人でタイへ行き

その考えが間違いでは無かったという事を改めて実感した

自分が見たい思えば何だって見られる

体験したいと思えば何だって体験できる

この街が嫌だと思えば違う街へ行き

楽しいと思えば気が済むまでそこに留まる

景色も人も寝る場所も毎日が新しい

全ては自分の気持ち次第

そんな風に旅をしているうちに僕は国境を越え

隣の国、ラオスまで足を伸ばしていた

一人という気楽さと程よい緊張感が心地よかった

日本ではあまり実感する事の無かった国境を越えるという感覚

パスポートにスタンプが増えていくたびに

自分の世界が広がっていくような気がしていた


そして帰国後に真っ先に考えた事…

「次はもっと長い旅をしよう!

 とりあえず就職してお金を貯め、出来る限り長い旅をしよう!」


こうして僕は旅の魅力にすっかり取り憑かれてしまった


最後に一人旅をしてから5年の月日が経ち

僕は再び一人で長い旅に出る事になった

始めは半年ぐらいの予定でアジアを全部回ろうと考えていたのが

月日が経つにつれてその考えはより大きなものへと膨らんでゆき

気付けば世界1周という一大プロジェクトへと変わっていた


この5年間「旅に出たい」いう気持ちが変わる事は無かったが

その気持ちに迷いが生じた事は幾度となくあった

27、28歳とは実に迷いの多い年頃だと思う

大学を卒業し社会に出て、世の中の仕組みが

何となく分かり始めた時でもあるし、仕事が面白くなってきた時でもある

更に回りの人間が段々と落ち着いてくる年頃でもある

そして、生きる事の大変さを分かり始める年頃でもある

世の中の自然な流れに身を任せるのが楽な生き方なのだと

頭の何処かでは分かっているが、それを認めたくない自分もいる

年を重ねるごとに自分の選択肢が段々と狭くなり

その度に自分が何かを諦めいく様な気がしていた


僕が出発を決めた最大の理由は、全てを一度リセットしたいと思ったから

旅への思いを常に引きずりながらこの5年間を過ごしてきた為に

その選択にいつも曖昧な態度でしか答えられなかった

全てが中途半端

いつも自分でそう感じていた

そして遂に言い訳の通用しない高い壁の前に来てしまった

「行く?」「行かない?」何度も自分の中で自問自答し

結果的に僕は「もっと色々な世界を見たい」という自分の好奇心を選んだ

人間は何の為に生きるのか?とか難しい事を考えればキリがないけど

僕がこの旅に何かの答えを求めるとすれば

それはぐるっと地球を一回りして帰った時に

「自分が何を感じるのか?」という事


そしてせっかくの機会なので自分がこの5年間やりたいと思っていた事を

色々とやってみようと思っている

ここでの旅行記もその一つ

暇な時やチラっとでも僕の事を思い出して頂いた時にでも

「アイツはどこで何やってんだ?」とこのHPを見て頂けると幸いです

多分、僕はこの地球の何処かで

必死に目を見開いて何かを見ていると思います


果たして地球をぐるりと回ってみると人間は何を感じるのか?


それは行ってみないと分からない