2006/7/7


やっぱり砂漠をナメてはいけません

昨日僕がイメージしていた朝日とは大分違ったモノになってしまいましたが、アラブ城から見た朝日は間違いなくこの旅、ベスト1の美しさでした。しかしそこまでの道のりはこの旅で最も厳しい道のりでもありました。

昨夜は絶対に起きなれければというプレッシャーと、この先の旅のルートの事などを考えていたら、いつまで経っても眠る事が出来ませんでした。結局、寝たのか寝ていないのもよく分からないまま、目覚ましをセットした15分も前に目が覚めてしまいました。しかし思ったより体も軽く、頭もスッキリ。

まぁ起きれたから良いか…

宿を出たのは予定通りの4時半。外はまだ真っ暗だというに何故か通りを歩いているおっさんが何人かおり、その事に僕がビックリした様に彼らも砂漠に向って歩いてく僕を何じゃコイツ?という目で見ていました。

そして僕は宿を出た瞬間に自分がとんでも無いミスをした事に気付いていました。

滅茶苦茶寒い!!

寝ている時はパンツ一丁だったので、外の寒さに全く気がつきませんでした。窓から外を見てもそれ程、寒そうに見えなかったので僕は短パンで出掛けようとさえ考えていました。まぁ山登りだからと辛うじて長ズボンは履いてきましたが、上はTシャツ一枚。宿へ引き帰そうにも玄関はオートロック。誰かを叩き起こさなければ中に入れなかったので、たまたま持ってきた敷物用の布を体に巻き付けて砂漠へ向いました。

しかしいざ砂漠へ入ると今度は歩く事さえままならいくらいの凄い風。体を斜め45度に倒したまま前に進まないと一歩も前に進めず、まるで台風情報のリポーターの様に風に煽られながら必至で山の上を目指しました。これまでの人生で体感した最大風速を遥かに上回る突風は、平地から斜面へと道が変わって行く連れ増々強くなり、吹っ飛ばされそうになる度に岩にしがみ付き、最後はほぼ這っているに近い状態で何とか頂上まで辿り着きました。

砂漠恐るべし…

朝っぱらから大自然の驚異を身をもって体験する事になりませしたが、誰もよりも苦労して辿り着いた丘の上からの眺めは昨日にも勝る奇麗なモノでした。彼方に見えるパルミラの夜景と一直線に大通りに並ぶ街頭の光は、着陸する飛行機から見える飛行場の灯りの様に周りに何も無い砂漠の真中で美しく光り輝いていました。

しかし残念だったのは空の低い部分にはうっすらと雲がかかっており、空と大地の境目はその雲でぼんやりと滲んでいました。恐らくこの時期はいつもこんな感じなんだと思います。まぁこれは来てみなければ分からなかった事。段々とオレンジ色に染まって行く空と美しい景色を眺めながら、来た事に悔いは無いと心から思いました。


出来れば独り占めしたかった

朝日が昇るほんの5分前。何台かタクシーがやって来て、丘の上にゾロゾロと人が集まってきました。

てっきり一人だと思っていたのに…

出来ればこの美しい景色を独り占めしたかったけど、それは仕方が無いか。お日様はみんなのものだしね。


パルミラ遺跡はこの時間に見物して下さい

帰りは少し遠回りをして遺跡の中を歩いてから帰る事にしました。あれだけ吹いていた風はいつの間にか止み、お日様が昇った砂漠は暑くも無く、寒くも無く、とても歩き易い陽気になっていました。昼間は無機質で悲しげに見えたボロボロの古代遺跡は柔らかい朝の光に照らされ、息を吹き返したかの様に美しく輝いていました。

驚いた事にまだ朝の6時だというに見物に来ている人が結構いました。たまたま早起きしたからという感じでは無く、しっかりとしたツアーの様な感じで遺跡を見て回っており、それを相手にする土産物屋やラクダもこんな朝早くからしっかり商売を始めていました。しかしよくよく考えてみるとクソ暑い昼間に砂漠の中を歩くより、少し早起きしてアラブ城で朝日を見て、そのまま遺跡を見て回るのがベストかも知れません。後は夕方、もう一度アラブ城に行って夕日を見たらお腹いっぱい。

僕は3日もかかってしまった…

とは言え、普通に見たら実はそれ程、面白くは無いパルミラ遺跡を何だかんだ言って思いっきり満喫していた様な気がします。こんなに奇麗な景色を見たのは本当に久しぶりだったし、あんなに凄い突風に吹かれたのも初めてでした。それに宿のドミトリーもずっと一人でシングル状態。そんな訳で出発は明日に延ばしもう1泊する事にしちゃいました。

シリアに入って以来、どの街でも必ず予定より1泊長く滞在していますが、実はこれもちゃんと考えての事。次の目的地、シリアの首都であるダマスカスで僕はパキスタンのビザを取らなければなりません。今から急いで行っても月曜日までは大使館がお休みなので、明日の昼過ぎにここを出てゆっくりダマスカスに向おうと思っています。

明日からまた違う街。