2006/4/13


南米最後の地、ブエノスアイレス

周りの騒がしさに目を覚ますと、バスはブエノスアイレスのバスターミナルへ到着していました。時刻は午前5時。予定より2時間程早い到着でしたが、僕にとっては十分過ぎるくらい長いバスの旅でした。

一瞬、このまま空港へ向えばダイチ君の見送りに間に合うかも?と、考えましたが、6時半の飛行機ならとっくにチェックインを済ませているだろうと思い、諦めました。まあ、日本に帰ればいつだって会える。

荷物を受け取り、取りあえずターミナル内にあったコーヒーショップで朝食をとりました。ガイドブックを持っていたので、セントロまではバスで行こうと思っていたのですが、ホテルを探すにはまだは早過ぎる。ゆっくりコーヒーを飲みながらようやく辿り着いた南米最後の地、ブエノスアイレスのバスターミナルで段々と空が明るくなってくる様子を眺めていました。

それにしてもブエノスのバスターミナルは僕の予想を遥かに上回って寂れていました。これまで通ってきた街のターミナルはどこも立派な所ばかりだったので、これには少しビックリしました。

もしかしたらここはブエノスアイレスではない?

一瞬、そんな考えが頭をよぎり、売店のおばちゃんに聞いてみるとここは確かにブエノスアイレスでした。そして、このターミナルはここか?と地図に載っていた場所を指差して確認すると、おばちゃんは違うと言い、僕が持っていたブエノスアイレスの地図から大分、はみ出したページの余白部分を指差しました。

え?!こんなに遠いの!!

ゆっくりコーヒーなんて飲んでいる場合ではありませんでした。僕は多い急ぎで荷物を背負い、おばちゃんに聞いたブエノスの中心街へ向うバスに乗り込みました。

初めて見るブエノスアイレスの街並は、僕が今まで見てきた南米のどこの国の街とも違っていました。何と言うか、とても都会的。古くて味のあるコロニアルの街並がどこまでも続き、所々にある公園も奇麗に整備されていました。そこには犬の散歩をする老人や、朝のランニングを楽しむ人達の姿があり、朝の通勤ラッシュでごった返していたバスの乗客は皆こ奇麗な格好をした白人ばかり。これまでどこの都会に行っても必ず感じられた「貧しさ」は、ここでは全く感じられませんでした。

まるで僕の大好きなニューヨーク。

バスがセントロに近付くに連れ、更に都会さを増して行くブエノスアイレスの街並を眺めながら僕はワクワクしていました。

今日の宿は1泊23ペソ(約800円)のユースホステルのドミトリーです。ちなみにアルゼンチンの通過はペソ。1ドルは約3ペソ。本当はダイチ君が泊まっていたビクトリアホテルという、日本人が多く利用しているホテルに泊まろうとかと思っていたのですが、場所が分からず、止む終えずココに泊まる事にしました。ブエノスでの滞在予定は1週間。その間にヨーロッパ行きのチケットを取り、まだ全く何も分かっていないヨーロッパの情報を集める。誰かに会うつもりでこの街にやって来たのに、出だしから大都会のど真ん中で取り残された様な気分になりました。

しかし!!ここから様々なミラクルが起りました。


久しぶりの大都会

取りあえずネット屋に行って、もう一度、ビクトリアホテルの場所を確認しようと街を歩いていたら、横断歩道のど真ん中で、パラグアイのイグアス居住区(日本人の村)で会ったユウキ君にバッタリ再会しました。あの時はバタバタと身支度をして宿を出てしまったので、メールアドレスも交換していなかったのですが、僕等は同じ年という事も有り気の合う仲でした。

当然の事ながら一気にテンションが上がってしまった僕等は、二人でマクドナルドへ入り、あれこれと旅の話で盛り上がってしまいました。ユウキ君は約一年の南米旅行を終え、18日に日本へ帰国するそうで、飛行機チケットの支払の為に旅行会社に向う所でした。そしてその旅行会社は僕がウユニ塩湖で会った日本人に聞いた、ブエノスで買うならここがいいと紹介された場所でした。僕も行こうと思っていたのですが、場所がイマイチ分からなかったのでこれはラッキー。更にユウキ君が泊まっているのは例のビクトリアホテル。こちらも場所が分からなくて困っていた所だったので、かなりラッキー。

しかしこの日のラッキーはコレだけでは終りませんでした。ユウキ君の口から語られた衝撃の事実を知り、僕は思わず飛び上がりそうになってしまいました。

何とあのダイチ君がまだビクトリアホテルにいる。

え??帰ったんじゃないの?!思わずビックリしてそう聞くと、今朝、みんなに見送られて空港まで行ったにも拘らず、飛行機が欠航になり戻ってきたと聞かされました。僕が出発に間に合わない限り、会える筈が無いと思っていたので、このラッキーには本当に何か特別なモノを感じざる終えませんでした。

そんなダイチ君との感動の再会は、後ほどユウキ君と一緒にビクトリアホテルへ行ってから味わう事にして、取りあえず彼のチケットの支払の為に旅行会社に行く事にしました。

そしてここでもラッキーな事が・・・

僕が最後の最後になって大急ぎでヨーロッパへ向う事になったのには、お金が段々と無くなってきたという事もありますが、もう一つ大きな理由がありました。実は今月の終わりに日本にいる彼女が仕事の関係でパリへやって来ます。しかも仕事が終わる頃には、日本が丁度ゴールデンウィークに突入する為、彼女はそのまま1週間程パリに残れる。という訳で僕等はパリで5ヶ月ぶりの再会をする約束をしていました。

そんな訳で僕は今月の20日頃にブエノスで最も安いチケットが買えるスペインへ飛び、5月1日の再会を目指してパリへ向う計画を立てていました。しかしユウキ君の支払のついでに、ヨーロッパ行きのチケットを聞いてみると、明日から「セマナサンタ」というキリスト教の行事が始まるらしく、この時期のチケットは満席だと言われてしまいました。ならばと4月の終りにパリへ向うチケットはあるか?と聞いてみると、4月30日発なら安いチケットがあると答えが返ってきました。到着は5月1日の夜。まさに彼女と待ち合せをしている日でした。値段は635ドル。出来れば数日前に到着していたいと思っていたのですが、この金額は僕の予算内で、コレより前はチケットはおろか空席すら殆ど無いという状況でした。しかも明日からはセマナサンタの為、アルゼンチンは4連休。今日中に決断しないとこのチケットも無くなる可能性があると言われ、散々迷ったあげく4月30日発のチケットを買う事にしました。

こうしてブエノス到着初日、ユウキ君との偶然の再会から僅か数時間。僕がこの街でやらなければならない事の殆どが終わってしまいました。

出発まで後2週間以上もあるのに・・・

その事は後で考える事にして僕等はビクトリアホテルへ向い、待ちに待ったダイチ君との再会を果たしました。そこには全く変わらない坊主頭のダイチ君がいました。本当にミラクルとしか思えない再会に僕等は大いに盛り上がり、ユウキ君と3人で、今夜の便で日本へ帰ると言うダイチ君の第2回お別れ会を開きました。みんなベロベロになるまで酔っ払い、朝方、ベロベロの状態でタクシーに乗込んだダイチ君を見送りました。


2回目のサラバ大地!

こうして本当にとても長い一日が終わりました。結局、自分が泊まっているユースホステルには帰る事も出来ず、ビクトリアホテルに部屋を取りました。ちょっと無駄遣いしてしまいましたが、今日だけは仕方が無い。

偶然街でユウキ君に出会ってからは、物事が流れる様に進んで行き、今日一日で何もかもが良い結果に収まってしまいました。これまで殆ど人と話す事も無く過ごしてきた僕の旅がガラリと変わり、聞き慣れた日本語の会話と、気の合う旅仲間に囲まれていました。そして僕は久しぶりに思いっきり笑っていました。

明日からアルゼンチンは4連休に突入します。お店も殆ど閉まっている様なので、僕の旅も取りあえず4連休。出発までの時間をどう過ごすかはその間に考えようと思っています。

しかしこの後更なるミラクルが・・・