2006/3/2

カーニバル7日目の夕方。あと1日あると思っていたバーハ地区でのカーニバルは実は昨日が最終日でした。屋上から外を見ると、あれだけ汚れていたのが信じられないくらい奇麗にゴミが片付けられ、通りを埋め尽くしていた露店は跡形も無く姿を消していました。

6日間のバカ騒ぎが終わった街は完全にいつもの顔に戻っています。ダイチ君の情報ではカーニバル自体は昨日までで、今日もそのオマケみたいなのがあるとの事です。
恐らく旧市街やカンポグランジの方がかなり規模がデカいので、そっちはやっているんだと思います。まだまだモノ足り無いというダイチ君と共に最終日はそっちを覗いてみようと思っていますが、僕的には昨日のカーニバルで完全燃焼してしまったので、今日はのんびり最後のカーニバルに浸るくらいでいいかなと思っています。

昨夜は結局ダイチ君と再会出来る事無く最後まで一人でカーニバルを楽しみました。
しかも思いっきり。ダイチ君に置き手紙を残してホテルを出たのが1時前。やはりバンドは昨日と同じでしたが、人々は相変わらずの盛り上がりでした。毎日の事ですが本当に凄い。街が日に日にゴミだらけになって行っても、日に日にションベンだらけになっても、人々の熱気だけは一向に衰える事を知りません。そんな周りの勢いに圧倒されながらも何組か通り過ぎるバンドを見ながら僕も通りで踊っていました。踊っていると色々なヤツが話しかけてくるので退屈はしないのですが、やっぱり一人だとちょっと盛り上がりに欠けます。なので段々とテンションが下がって行き、その後はダイチ君との待ち合せ場所に指定していたビーチでのんびり休んでいました。

そのうち雨まで振り出し、もう帰ろうかと思って通りに出たその時、向こうからかつて見た事も無い程の盛り上がりを見せるトラックがこちらへ近付いてきました。トラックは昨日見たバンドのモノだったのですが、何かが違う。聴こえてくる音楽も、そのトラックの様子も。そして盛り上がり方も。トラックの上には両手を高く上げて人々を煽る一人の白人。「??」バス停で雨宿りをしていた僕はどこか見覚えのあるその顔とこの音楽に思わず雨の中へ飛び出しました。トラックまで50m。40m。30m…。「やっぱりアイツだ!!」。

僕は6日目にして初めて出てきた自分の知っているアーティストのトラックに向って走り出しました。ブラジル、サルバドールのカーニバルに何とあの世界一のお祭りDJ、ファット・ボーイ・スリムが登場しました!!ダイチ君から「出るかも」という情報を聞いていたのですが、ホームページでラインナップを調べても彼の名を見つける事が出来ませんでした。カーニバルが始まってからはすっかりそんな事も忘れていたので、このラッキーなハプニングにダイチ君には申し訳ないと思いつつもこれ以上無いというくらい楽しませてもらいました。

別にファット・ボーイ・スリムが好きという訳ではないのですが、カーニバルで自分の知っているアーティストに出会えると全く思っていなかったし、そう言えば彼女と出会ったのも確か数年前に日本で行ったファット・ボーイ・スリムのイベントでした。サンバやサルサは踊れないけど、クラブミュージックなら僕でも踊れる。それに多分もう知っているバンドは出ない。これこそ僕が最後まで付いて行くトラックだと思い、遂にカーニバルロードの最後までトラックに付いてカーニバルを完走してきました。もういい。何度もそう思いながらも、ここまで来たら最後までと自分に言い聞かせもみくちゃにされながら踊っていました。ケンカはしょっちゅう、ビールもガンガン飛んで来る。ポケットに入って来る手を何度もブロックしながら、僕は今までのクラブ人生で最高に楽しい瞬間を体全体で感じていました。帰りはどこまで来てしまったのかも分からず、取りあえず来た道をフラフラになりながら帰ってきました。途中で何台かのトラックとすれ違い、その度にまだまだ盛り上がっている人をのんびり眺め、たまに一緒に踊りながら。いつも休憩していた丘の前に戻ってきた時に最後のバンドとすれ違いました。彼等はこのあと1時間以上もかけてゴールを目指します。
しかしこの瞬間、僕のカーニバルは終わりました。

「もういいかな」

明け始めた空と、いつもの様に変わらぬ海と、祭りの後の疲れ果てた街を見ながら
初めてそう思いました。

自分が知ってるというだけでこれだけ盛り上がれる。ブラジル人がこれだけ毎晩の様に大騒ぎ出来る理由が分かった気がしました。彼等には大声で歌いながら思いっきり体を動かして踊れる歌がたくさんあります。そしてそれがサンバのリズムの様に陽気なブラジル人の生きる力になっています。カーニバルはそんな彼等の最大のお楽しみなんだと思います。僕もカーニバル本当の楽しさを少しだけ体験する事が出来ました。

しかし今朝クタクタでホテルへ戻って来ると、僕が旅中で最も恐れていた事態の一つが起っていました。何とデジカメがぶっ壊れていました!凄く気に入っていたカメラだけに大ショックです。原因はビーチ。アハイヤウ・ダジューダのビーチにカメラを持っていった時に中に砂が入ってしまい、電源をON/OFFするレンズの蓋が動かなくなってしまっていました。その時は手動で何とかなっていたのですが、今朝カーニバルの終了の一枚を撮ろうとしたら、遂に電源が入らなくなってしまいました。カーニバルには殆ど持っていっていないので、ここで壊れる心配を全くしていませんでした。今朝はまあ買えばいいかと、意外にポジティブに考えていましたが、目が覚めたら僕の気持ちはカーニバルどころでは無くなってしまいました。デジカメを買って以来、僕は急に写真をたくさん撮る様になりました。ホームページ用というのありますが、旅先では恐らく1ヶ月に500枚以上は写真を撮っていました。これからはそれが出来なくなる。完全に翼をもがれた鳥になった気分です。カメラを買う以外に方法は無いのですが、前のカメラが凄く気に入っていたので出来ればそれくらいのモノを探したい。そうなると値段もそれなりにしてくると思うので、慎重に事を進めなければなりません。それに僕は前のカメラと同じ口径のビデオカメラ用のワイドレンズを持っており、それを手で押さえて写真を撮ったりしていました。これを使うと普通のカメラより格段に広角で写真を撮る事が出来るので遺跡見物等で大活躍していました。同じレンズの口径のカメラを買わないとそれも使えなくなる。

まあこれだけ楽しい事が続いていたので、そろそろ嫌な事が起るのではと覚悟はしていました。壊れたものはどうしようもないので、買うしかないと超ポジティブに考えています。それにしても遊び過ぎの代償にしては大きかった。なので当分は写真がありません(涙)

取りあえずカーニバル最終日。行って来るかな。