2005/12/25


ここまでは良かった…

今日はクリスマス。この国の人達は一年に一度のビックイベントに備え、朝から買い出しに大忙しでした。メルカドは人が通れない程込み合い、スーパーのレジには豪華な果物やお菓子を両手いっぱいに抱えた人々が長蛇の列を作っていました。

僕はと言うと、飛行機のチケットが取れるまでこの街を動けないし、国中の人達が浮き足立っているこんな日にジタバタしてもしょうがないので、今日は思いっきり休む事にしました。

旅をしているという事はイコール毎日遊んでいるだけなのですが、これまで常に「何かしなければ」、「何処かに行かなければ」という気持ちに追い掛け回されていました。メキシコではそれが結果的にいい出会いや発見に繋がっていたのですが、グアテマラに入ってどうも上手く行かない。それにアンティグアという街は街そのものが奇麗というだけでハッキリ言って見所が有りません。朝からお腹の調子が今ひとつ良く無いし、夜にはカテドラルの辺りで何かのイベントがあると聞いていたので、今日はそれまで宿でゆっくりする事にしました。

昨日はこの狭い宿で一人でクリスマスを過ごすのかと思うと、かなり気が滅入っていたのですが、のんびりしようと決めた途端、この宿がかなり快適に思えてきました。実際、25ケツァール(400円)でシングルというのはかなり格安だし、昨日から観察している所によるとこの宿には恐らく僕一人しか泊まっていない。しかも、僕が泊まっている3階は半分が屋上になっていて開放感も抜群。誰も上に上がってくる心配が無いので、勝手に自分用のテラスを作ったり、外に置いてある椅子を部屋に運んで来て棚を作ったりとかなり快適な居住空間を作り上げました。まあ、こんな日に敢えて誰も泊まっていなそうな宿を選ぶ人も居ないので当たり前と言えば、当たり前なのですが、たったこれだけの事で僕は朝からかなり上機嫌でした。

しかし、ここからがクリスマスの悪夢の始まりだった…

屋上でモクモクと煙の上がる火山を見ながら朝食をとった後、朝の日課である筋トレをやっていたら、急にお腹が痛みを感じました。いつものとはちょっと違う鈍い痛み。かといってトイレに駆け込む様な感じでもない。それ以外の部分は全く問題が無いので、これは一体何なんだ?と思い、取りあえず部屋で暫く横になっていました。

午後になると痛みが落ち着いて来たので、再び外に出て屋上で本を読んでいました。調子が悪い時はお日様に当たればいいんじゃないかと勝手に思い、上半身裸で2時間程、本を読んでいると再びお腹が痛くなってきました。今度はヤバい!と思い、トイレへ急行。僕は今までの経験上、いくら何かにあたっても出れば大丈夫と思っていました。今日はお腹は痛いけど、その兆候がないのでチョット心配していました。そこへ、ようやくやってきた第一波。これで一安心と、シャワーを浴びて、散歩に繰り出す事にしました。

外は人と車でごった返していました。しかしホテルから10m程歩いた所で僕は自分の異変に気付きました。体が重く、風にさらされた皮膚が異様なくらい痛い。一歩歩くごとにその症状がひどくなり、一ブロック離れたスーパーに辿り着いた頃には、体中が暑く立っているのがやっとの状態でした。

「何かおかしい!」

実はシェラで温泉に入った後から体調があまり良くありませんでした。温泉から宿に戻るまでで多分、湯冷めしてしまったのと、あの街の寒とこの国のハードな移動。更にグアテマラに入って精神的に少し落ち込んでいたのが、ここに来て一気に爆発してしまいました。

完全に風邪を引いてしまった。

すぐに宿に戻って休もうと思ったのですが、その前に何か食べなければ。とにかくお腹一杯食べて、更に余分な食べ物を買ってからではないと戻れない。グアテマラに入ってからというもの、実はまともな食べ物に出会っていません。メキシコではあれだけたくさんあったタコス屋もこの国では殆ど見かけず、食べ物を売る露天も殆ど出ていない。そして、この国は僕がここまでで思っている限りでは食べ物が不味い。とにかく今日は安全な物が食べたかった。確実にお腹が満たせて、味が予想出来る物。真っ先にマクドナルドに入りました。

そこからはまさに地獄の様なクリスマスでした。目が覚める度に汗びっしょり。朦朧とする意識の中で何度もTシャツを着替え、再び寝袋に潜り込む。クリスマスに寝込んでいるいう事自体にはあまりがっかりしませんでしたが、今日がクリスマスであった事に対してはもの凄く怒りを感じていました。何故なら、一晩中、鳴り止む事の無かった爆竹とロケット花火に何度も叩き起こされたからです。本当に凄かった。凄かったなんてもんじゃない。夜中にあまりのひどさに屋上からホテルの前の通りを覗いてみると、そこはまさに戦場でした。若者達が通りを挟んでロケット花火を撃ち合っていて、ガンガン民家に花火を撃ち込んでいる。通りかかる車にも思いっきり直撃していたし、家の中にも思いっきり花火が撃ち込まれていました。自分も一緒になってやっていたら楽しめたかも知れないけど、今日の僕にとっては完全にいい迷惑。

この国では毎年、こんな事が行われているのか?

どう考えてもおかしいのに、誰もそれを咎める人がいない所をみるとこれが当たり前の様です。でも、僕にはただの暴徒化した若者達の様にしか見えませんでした。

昔、観た「ミックスナッツ」という映画の中で、主演のスティーブン・マーチンが言っていました。

「クリスマスは人生が拡大して見える。楽しい事はより楽しく、寂しい事はより寂しく感じられる。でも、それは錯覚なんだ」

と。でも、このままでは僕はグアテマラが嫌いになりそうです。