2006/1/4

今日は一日中、遺跡で遊んでいました。

昨日の移動の疲れも何のその!3人でしっかり5時半に起きホテルに迎えに来たティカル遺跡行きのシャトルに乗り込みました。今年初めての朝日が間もなく見えそうだったので、かなり期待してながら窓の外を眺めていたのですが、結局、深いジャングルに覆われ見る事が出来ませんでした。

2006年の僕の初日の出は、いつどこでやってくるのだろうか?

遺跡に着いたのは7時過ぎ。マヤ遺跡の中でも最大規模を誇るティカル遺跡は普通に歩いて見て回るだけでも有に5時間はかかります。そして、この遺跡が僕のマヤ遺跡巡りの最終到着点。これまで遺跡には全て一人で来ていたのですが、今日は3人。本当の事を言えば僕は写真をたくさん撮りたかったので、自分のペースでのんびり歩きたかったのですが、みんなを困らせずにその辺の事情を上手く説明する語学力が僕にはありませんでした。それに3人で来ているのにそんな事を始めたら「日本人は一体、どんな神経をしているんだ?」と思われる。まあ、みんなとても良い人達だし、僕らは何故か分からないけど波長というか旅のリズムが似ていたので、一緒に居ても全然、違和感がありませんでした。

ティカルには紀元前数世紀から人が住み始め、実に1000年以上も一帯のマヤの都市を従える巨大祭祀センターとして栄えていました。少ない時で1万人以上の人口を抱えており、現在分かっているだけでも16平方キロメートルの空間に3000にも及ぶ建造物があります。一番近い町からでも車で1時間。回りは全てジャングルで、ピラミッドの上に登るとその光景が地平線の彼方まで続いています。パレンケ遺跡なんて比にならない、完全なるジャングルに眠る古代遺跡です。

遺跡公園入り口から最初の遺跡ゾーンまで徒歩30分。ジャングルを歩いていると、今まで声しか聞いた事が無かった猿に初めて遭遇しました。ゴリラの様なうめき声とは想像もつかない程、可愛らしい猿でした。

一体何個あるのかも分からない巨大ピラミッドはその殆どが上まで登る事が出来、そこからの眺めはどれも最高。僕らは誰のペースに合わせる事も無く、本当にのんびり途中で昼寝をしたりしながら、この巨大遺跡を堪能しました。そして、見物の最中に仲間が一人増えました。

ピラミッドの頂上で出会ったその旅人の名はマリオ。エリベルトと同じ32歳のグアテマラ人。グアテマラシティーで美容師として働いている彼は、正月休みを利用してグアテマラとベリーズを旅しているらしく、実は僕らと同じホテルに泊まっていました。昨夜、宿の屋上で僕らがまったりしている時にたまたま隣に座っていたのですが、その時は挨拶を交わしただけでした。屋上の次はピラミッドの頂上。この偶然にさすがに僕らは話が盛り上がりすぐに意気投合。

彼は昨日、僕らと会った後にティカルへやって来てキャンプをしていたらしく、早朝のピラミッドに登って果てしない緑の海に昇る朝日を見たらしい。そんな楽しみ方があったなんて知らなかった僕らは彼の話に興味津々でした。といっても、僕はスペイン語で話す彼等の会話に混じる事が出来なかったのでひたすら写真を撮りまくっていました。でも、この光景に朝日が昇って来たら間違いなく最高に奇麗だろうなと、ちょっとマリオが羨ましく思えました。


どのピラミッドに昇っても眺めは最高。

遺跡見物の後はマリオに誘われ彼のテントで遅めの昼ご飯をご馳走になりました。僕はこういうスタイルで旅をしているグアテマラ人に初めて出会いました。失礼な話ですが、貧しさと暴力とアメリカに支配されたこの国にそういう欲求を持っている人がいるなんて想像もしていませんでした。

実際、マリオにとってもこういう旅は初めてだった様で、彼はこの旅で新しい何かを発見しました。昨夜、僕らが出会ったマリオは不安に苛まれ、何かにおびえた様な目をしていました。しかし、そんな彼を変えたのはまぎれも無く広大にジャングルの彼方に見えた朝日でした。彼は目を潤ませながら「もっと旅をしたい」と、僕らに言い「いくらあれば1年間中南米を旅出来るのか?」と尋ねました。そんな彼にエリベルトは「お金なんて無くなったら途中で働けばいい。それよりも旅をしたいという自分の気持ちにマリオが気付いた事の方が重要なんだよ」と答えました。

彼の表情の変化は僕にも手に取る様に分かりました。人が何かに気付く瞬間。グアテマラのジャングルで僕と同じ様な旅人がまた一人この世界に誕生しました。国籍や年齢、性別、そんなモノはどうでもいい。人間は皆同じ空の元で同じ様な事を考え、悩み、何かを探しながら生きている。突然、僕にも分かる様に英語で話し始めたマリオを見て、僕はまた、旅に出て良かったと思いました。


エリベルト・マリオ・マレーナ・マサト