2006/1/26


行ってきます。

天空の城、マチュピチュ遺跡。日本からなら多分、10日も休みを取れれば見に来れるので、死ぬ前に必ず見に行って下さい。スペイン軍から逃げ延びたインカの人々が作ったこの空中都市は、今まで僕が見てきた遺跡の中でも断トツの素晴らしさでした。初めてテレビでマチュピチュを見た時に「絶対に行きたい!」と思った、あの時の気持ちが裏切られるどころか、それ以上の感動を与えてくれました。


まだマチュピチュは見えない。

僕らがマチュピチュに着いたのは朝の10時前。天気は相変わらずの曇り空で、今にも雨が降り出しそうでしたが、僕らのテンションは上がりっ放しでした。遺跡があるのはアグアスカリエンテスから更に山奥へ20分。標高2280メールの山の頂上にあります。マチュピチュが天空の城と言われる所以は、何と上からしかその姿を見る事が出来ないからなんだそうです。その為、バスを降りる直前まで、その姿は全く見えません。入り口に着いても見えるのは本当に段々畑の僅かな部分だけで、中がどうなっているのかまでは分かりません。学生証を使って半額のチケットをゲットした僕らは期待に胸を膨らませ、いよいよその中へと足を踏み入れました。


入るといきなりこの眺め。

マチュピチュは1911年にハイラム・ビンガムによって発見されました。彼は何とインカ時代の文字を解読し、この場所を探し当てたそうです。今でもマチュピチュ程、人気のある遺跡で行くのが意外と大変な遺跡は無いと思います。リマからクスコまで20時間。そこから電車で4時間。更にバスで20分。ここはまさにビックリするくらいの山奥です。発見したビンガム氏も凄いけど、ここにかつて1万人もの人々が暮らしていたという事がどれだけ凄い事なのか、実際に来てみると良く分かります。見つかり難い場所にあるだけあって、保存状態はかなり良く、遺跡というより廃墟となった街の中を歩いていような気分でした。確かに観光客はたくさん来ていますが、それ以上に遺跡がデカイので窮屈な感じもそれ程、ありません。天気も小雨がたまにパラつく程度で、昨日よりはイイ感じ。僕らはルートを無視して好き勝手に遺跡を回りながら写真を撮りまくっていました。


Machu Picchu

スペイン軍によって首都、クスコを征服されてしまったインカ人達は、スペイン人達の手が届かない山奥にビルカンバという秘密基地を作ったそうです。マチュピチュの発見はそのビルカンバの発見では無いかと思われたのですが、この遺跡には黄金等が一切、残っておらず、今はビルカンバは更に山の奥にあったという事だけが分かっているそうです。更にインカ人達は、マチュピチュを去る時に、女性や歩けない老人達を秘密保持の為に殺し、街を全て焼き尽くしてしまったそうです。焼いていなかったかもっと保存状態が良かったと思うと、少し残念な気もしますが、ここまで完璧な遺跡を見たのは本当に初めてでした。


まるで巨大迷路。

一通り遺跡の中を見終わった後、眺めのいい場所に座ってテレビで見た事のあるあの風景を眺めていました。天気も次第に良くなってきて、遺跡の向こうにあるワイナピチュという山の頂上もハッキリと見えました。


どれだけ見ていても飽きる事が無かった。

実はマチュピチュには一つ特別な楽しみ方があります。それは、このワイナピチュに登って、テレビでも見た事の無いマチュピチュの景色を眺めるというのもで、僕が聞いた限りでは全員、この山に登っています。早い人は朝6時の開場時間とともに頂上へ登り、雲が割れて空中都市が現れるのを見に行きます。しかし、片道1時間のかなり険しい上り坂。それだけに感動は一入なのですが、僕らはリョウ君が足をケガしているため、登頂を断念しました。行ければ行きたかったと言う気持ちもあったけど、どれだけ見ていても飽きる事の無いこの景色。さっきと殆ど同じ写真だと分かっているのに何度もシャッターを切ってしまう程、この遺跡は何もかもが完璧で素晴らしい遺跡でした。


今も残るインカの道

帰りがけにワイナピチュに登らなかった変わりと言っては何ですが、マチュピチュで暮らしたインカの人々が作ったインカの道を通って、インカの橋というのを見に行きました。断崖絶壁の山を横切る様に作られた道を20分程歩くと、目の前に突然、現れた垂直に切り立った岩山。ここを通らなかれば、どうやっても先に進む事が出来なかった古代の人々は石を奇麗に積み上げ、完璧な橋を作りました。現在、この橋は危険過ぎて渡る事が出来ないので、それ以上先には進めないのですが、橋の向こうにも果てしなく道が続いていました。インカの人々はこの道を歩きながら何を考えていたのだろうか?リョウ君はかなりキツそうでしたが、景色もいいし、所々に当時作った石垣等が残っていて、インカ時代に浸れるいいトレッキングになりました。


命がけで作った橋。

最後にもう一度、この素晴らしい光景をしっかりとこの目に焼きけ様と遺跡の中を歩き回りました。そして、お互い納得した上で、マピュピチュを後にしました。気付けば5時前。遺跡滞在時間7時間。それでも、雨さえ降っていなければもっと居たかったくらい、後ろ髪を惹かれる思いで、空中都市、マチュピチュを後にしました。

帰りがけのバスでその余韻に浸っていると、マチュピチュ名物「グッバイボーイ」に遭遇しました。グッバイボーイとは、村へと戻る山道のカーブの所々で、小学生くらいの少年が手を振りながら「グッバーイ!」と叫んでいるだけなのですが、山の頂上で手を振っていたのと同じ少年が、何と走ってバスを先回りしながら、山の下まで着いてきます。最後にバスに乗り込んできてチップをもらう訳なのですが、多分、マチュピチュとは全然関係が無いのに、何だか面白いこのパフォーマンスに、乗客は大拍手で彼を迎え入れました。しかも、バスを降りる時も一人一人に手を振って見送ってくるという徹底ぶり。彼等はちゃんとそれ専用の衣装も着ていて、完全なるエンターテーナーでした。


反省会はちょっとゴージャスでした。

こうして僕らは日の暮れる少し前に村へと戻り、毎日通うと決めたカフェへ行きました。そこで、昨日と同じ様にドラゴンボールの様な山を眺めながら、マチュピチュの余韻に浸っていました。昨日はどの方向にマチュピチュがあるのか全く分からなかったけど、今日はこの山の向こうにその姿を思い浮かべる事が出来ました。来れて本当に良かった。旅に出て2ヶ月半。気付けばスペイン語も普通に日常生活を送る分には、支障の無いくらいは話せる様になりました。といっても今まで限りなく0に近かったのが、1になったくらいで、普通に話しかけられても何を言っているかは全く分かりません。ただ、分かっているフリはかなり上達したので、地元民とのやりとりも、最近、楽しくなってきました。

毎日、いい事ばかりではありませんが、旅に出て本当に良かったと思っています。そして、そんな時期にこの遺跡まで辿り着き、この先も旅を続けていたいという気持ちがより大きなものへと変わりました。僕はまだ地球の10分の一も見ていない。明日は4時までこの村でバスを待たなければならないので、再びあのカフェに行って夕方まで時間を潰そうと思っています。もうすぐ、僕の2泊3日のマチュピチュへの旅が終わります。そろそろ次の事を考えなければ。

でも、もう少しだけマチュピチュの余韻に浸っていたい。