2006/1/2

昨夜の大騒ぎから一夜明け、町は完全にその機能を失ったかの様に静まり返っていました。そして、僕らも完全に二日酔いで午前中はベッドから出る事が出来ませんでした。

僕とエリベルトは殆ど言葉を交わしません。というか、僕が殆ど英語を話せないため、彼の話を一方的に聞いて、たまにたどたどしい英語で僕が話しかけるといった感じです。彼の言っている事の70%位は理解出来るのですが、いざ質問に答えようとすると言葉が何も出て来ない。それでも彼は辛抱強く僕の話を聞いてくれ、言っている事を必死に理解しようとしてくれます。いつも申し訳なく思いながらも、僕らは何故か気が合い、何をしていても楽しく過ごす事が出来る。

エリベルトの職業は本物のアーティストです。ダンサーと言っても音楽に合わせて踊るダンサーではなく、全身を使って何かを表現する非常に前衛的なアーティスト。たまたま彼の持っていた作品集を見せてもらったのですが、とにかく凄いとしか言いようがありませんでした。常人には理解に苦しむ世界です。数々のショーに出演し、自ら企画、演出も手掛けて中南米の各国でパフォーマンスをしいるエリベルト。今回の旅はアーティストとしてのスキルを更に磨く為と、最後に向うブラジルで何かのエキシビジョンに出演するのが目的らしい。自分のラッキーナンバーである「9」を今回の旅の期間と決めています。スキルアップと言う意味では僕と同じ考え方を持っているのでるが、実際にやっている事は僕と天と地の差。とにかくパワフルでカッコいい。

今日はそんな彼と一日中話をしていました。アーティストの彼は実に様々な物事に興味を持っていて、非常に勉強家です。宗教、伝統、民俗、自然、アジアを全く知らないエリベルトは僕に色々と質問してくるのですが、難しい話ばかりしていて僕はまともに彼の質問に10パーセントくらいしか答える事が出来ない。しかし、僕らは再会した事で日に日に心を開いて色々なモノを共有し始めています。初めての大きな旅。そこに含まれる全ての出会い。モノ作りを仕事とする者同士の価値感。そして、大好きな音楽。もっと僕に語学力があったら僕らの関係はもっと大きなモノへと変わっていたかも知れない。そう思うと自分が情けないとしか思えないのですが、頑張って勉強しようと思います。


元旦の夜はガリフナ族の伝統ダンスで盛り上がった。

もうすぐ旅に出て2ヶ月。普通ではなさ過ぎるこの日常の中にこの先1年も身を置いていたら、僕は今までの自分で居られる訳が無いと最近、思い始めました。多分、僕の中で確実に何かが変わってしまう。それはとてもいい事なのかも知れないけど、僕には自分がどうなって行くのか全く分かりません。そして、この2ヶ月間で僕がどの様に変わったのかも良く分かりません。でも、どうせ変わるならいい様に変わりたい。あらゆる物事を受け止められる広い心を持って、もっと優しい人間になりたい。僕の人生で間違いなく大きなターニングポイントとなる2006年。そんな事を考えながら旅を続けていこうと思っています。

という訳で明日はようやくこの町を脱出し、マヤ最大の都市遺跡、ティカル遺跡のあるフローレスという町に向います。そして、エリベルトも同じルートで僕がグアテマラを去るまでの期間を旅する事になりました。実は僕らはリビングストーンで遊び過ぎて、早急に節約生活をしなければならなくなってしまいました。2人でいれば宿代も節約出来るし、一人で居るより危険も少ない。

この旅で初めての「あいのり」は恐らく日本人だろうなと思っていましたが、まさかプエルトリコ人とは。これだから旅は面白い。