2006/1/19


地上の楽園がまたありました。

朝方、誰かがドアをノックする音で目を覚ましました。「何事か?」と出てみると、おじさんが「コンドル行きのバスが出るぞ」とわざわざ起こしに来てくれていました。僕は7時のバスに乗ってコンドルを見に行く予定を立てていたのですが、時計を見るとまだ5時。特に誰にも頼んでいなかったので、一瞬、騙されているのかとも思ったのですが、取りあえず準備をして出かけるとバスは本当に来ていました。僕が半信半疑でゆっくり準備していたので、何故か途中で待っていてくれたおばあちゃんと一緒に最後は走ってバスに飛び乗りました。何だか良く分からないうちに出発してしまいましたが、天気も良く、結果的に本当に親切で起こしに来てくれただけだったので、凄く得した気分でした。そして、今日は何かいい事がありそうな気がしました。

何でこんな時間からみんな起きているのか?と不思議に思ってしまうくらいバスはギュウギュウでしたが、未舗装の山道を1時間半程走ってコルカ渓谷の展望台に着き来ました。ここはコンドルが見えるベストポジションになっていて、道の途中にちゃんとした広場が作ってあります。僕が着いた時も既に数人の観光客がコンドル待ちをしていました。この広場には周辺の村から民芸品や食べ物を売るインディへの女性達が露天を出していて、さながらマーケットの様な状態になっています。そして、サーカス団の様な衣装を着たインディへナの女性達と僅かな観光客が一緒になってコンドルを追い掛けています。


Canon del Colca

コルカ渓谷はまさに絶景そのもの。メキシコで行った渓谷なんて比にならない程、美しい景色でした。遥か崖下を流れる川までの高さはナント3190m。断崖絶壁の切り立った岩山の上にはうっすらと雪が積もっていて、コケとサボテンしか生えていない急な山肌に挟まれたこの渓谷はまさにコンドルが舞うにふさわしい場所でした。これなら例え、コンドルが見れなくても諦められるかなと思いました。とは言え、わざわざツアーに参加しないで最終バスのギリギリまで居て、コンドルを見るつもりで来ていたので、早速、ベストポジションを探し、いざコンドル観賞スタート!


とにかく寒い。

予定より早起きできたおかげで、7時にはここに着いていました。最終バスは11時。僕に与えられた時間は4時間。何としてもコンドルが見たかった。しかし、標高3000mを超える山の上でじっとしているのはかなり大変でした。昨日、布と手袋を買っていなかったら僕は多分、途中で帰っていたと思います。

それから、心配していた高山病の方も一晩寝ても全く変化は無いので、問題無さそうです。一応、バスでジワジワと上に登って来たからというのもあると思いますが、せっかくここまで来て体調を崩しては悔やんでも悔やみきれないので本当に良かったです。

こうして用意していた朝食を食べながらひたすらコンドルを待ち続けました。といっても見る所があまりに大きすぎてどこからコンドルがやって来るのか分からないので、のんびりピクニックに来た様な感じで、生まれて始めて見る絶景を楽しんでいました。


ここまで来ただけでも十分だと思った

ペルーに来て凄く感じるのは南米大陸は本当にデカイという事です。僕が今まで見て来たメキシコやグアテマラ何か比にならないくらいこの国は景色がデカイです。人間の手が加えれていない厳しくて美しい大地がどこまでも果てしなく続いています。グアテマラの自然も凄かったけど、ここまで大きくはありませんでした。この後も南米では、ウユニ塩湖やイグアスの滝など雄大な自然を見るチャンスが多いので凄く楽しみです。


ホカロンを隠し忘れました。

暫くすると日が差して来て、観光客も増えて来たので、場所を移動する事に。コルカ渓谷は渓谷沿いに遊歩道が作ってあり、ガイドブックに寄ると1時間程で谷底まで降りる事が出来るそうです。ちょっと面白そうだったので、トライしてみようかと思いましたが、100m歩いただけで完全に息が上がってしまい、あっさりと諦めました。やはり3000mの高地を舐めてはいけません。じっとしていると気付きませんでしたが、運動するとここが高所だと言う事が露骨に分かりました。タバコを吸っている僕にはかなりキツい。それでも、誰もやって来そうに無い絶景ポイントまでゼーゼー言いながら歩いて行き、ここで最後の望みに掛けました。

この時点で、もし見れなかったらどうしよう?と言う気持ちがかなり強く、その時はもう一度、ここに来るかどうするかでかなり悩んでいました。コンドル以外は本当にやる事が無いので、もう一泊は出来れば避けたいと思っていました。でも、あれだけコンドルって騒いでいたのに、見ないで次に行っちゃうの?と思われたくも無いし…

そんな事を考えているうちに、アッと言う間にバスの時間である11時。僕はもう、完全に諦めていて、バスがチバイの町に着くまでにどうするか決めようと考えていました。まあこの景色を見れただけでも十分来た甲斐はある。しかしコンドルの為にもう一泊して、それで本当に見れたら最高に嬉しいだろうなという気持ちも有り、やはり出来れば帰る前に出て来てくれるのが一番、有り難かたいと思っていました。


もしかして?!

11時だと聞いてた最終バスが、僕の勘違いなのか12時だったので、バスがやってくるまで、展望台で最後のひと粘りをしてみました。この時間帯には個人で来た人と村人以外、殆ど人が居なかったので、みんなのんびりとコンドルを探していました。そしてビックリした事に管理人のおじさんに「今日はコンドル見れた?」と尋ねるとナント「1匹見れたよ」と答えが返って来ました。僕はその言葉に自分はドコを見ていたのかと愕然としました。その日に誰も見れなかったのなら、諦めがつくけど、みんな見ているのに自分だけ見れていないのは、どうしても納得がいかない。こうなったら藁にもすがる思いでコンドルの出現をひたすら祈り続けました。


コンドルだ!!!

そして、遂に最終バスまで後30分という所で谷底から突然、2羽のコンドルがゆっくりと円を描きながら上昇してきました。羽を動かす事無くゆっくりと風に乗って空を舞うその姿はまさに僕がイメージしていたコンドルの姿そのものでした。奇跡としか思えなかった劇的なコンドルの出現に僕は無我夢中でカメラのシャッターを切っていたました。その後、次々とコンドルが出現し、結局、バスが来る30分の間に5羽程のコンドルを見かけました。そして、僕のデジカメではやはりその凄さを十分に伝える事は出来ませんでした。なので、ペルーへ行った際には必ずここでコンドルを見て下さい。決して後悔はしないと思います。


写真はナスカの地中絵の時と変わりませんが

今回はちゃんと地面に立っていたので見たという実感があります。

こうして無事にコンドル観賞を終え、チバイの街へ戻ってきました。予定通り明日はアレキパに移動し、そこで2泊しようと思っています。ここでの目的はただ街をぶらぶらする以外特にないのですが、キッチンのついている宿を探し、自炊生活をしようと考えています。実はアレキパに来る時に荷物が重すぎてオーバーチャージを取られてしまいました。20キロ以上は超過料金があるなんて知らなかったのでビックリしましたが、確かに僕の荷物は大量の救援物資のおかげでかなり重くなっています。なのでなるべく荷物を軽くする為にも自炊は重要課題となっています。しかしガイドブックを読むとアレキパはご飯が美味しくて有名と書いてありました。タダでさえ旨いペルーのご飯。1回くらいはトライしてみようと思っています。